はじめてのバンド練習の日が来た。
放課後、シャラとのっぽのA君と一緒に大国町のスタジオへ行った。
四角いハードケースは重かった。
みんなの歩みについていけず、みんなの後方を坊主頭の僕は汗びっしょりになりながら小走りにがんばった。
4時に予約をしたスタジオにはもう一人ギターリストがいた。
シャラの幼馴染のロンゲのN君だ。
年は同い年だけれど、最早ベテランの風格があった。
いかにもギターが上手そうなロンゲのN君を紹介され、みんなと一緒にスタジオの中に入った。
二井原実、初めてのスタジオ体験である。
何もかもが本格的だと思った、。
ドラムセット、ギターアンプが2台、ベースアンプ、防音された壁、マイクスタンド、PA・・・・。
ベースアンプはヤマハの100ワットクラスのベースアンプだった。
僕のベースアンプは50ワットでつまみは3~4数個あるだけでとてもシンプルだったのに対して、このベースアンプには沢山のツマミがあり、インプットも数個有った。
(げっ!なんじゃこれ・・どこに「線」差し込んだらええねん。なんや、よーさんツマミ有るで・・。)
モタモタしている僕の後ろではギターリスト二人ともアンプから音が出ている。
それも、今まで聞いたことも無いほどの大きな音だ。
そして、一番驚いたのは二人のギターの上手さである。
(わぁ!こ、こいつら、なんや、無茶苦茶うまいやんけ・・・なんや無茶指動いてんで!目茶早弾きしてんで!それも、アドリブちゃうんか!!そや、これ、アドリブやぞ!なんで、こんなことできんねん!シャラ、めちゃくちゃ上手いけど、ロンゲのN君はもっと早いフレーズをこれでもかと言うぐらい弾き倒してるやん!!)
僕はショックだった、とてつもない衝撃だった。
初めて聴く生の爆音エレキギター、初めて聴く生の早弾き、わぁーレコードみたいやんけ。。
自分のベースの支度すら忘れて、しばし呆然と眺めていた。
僕の中学にはこんな凄いうまい奴はいなかった。
いたのかもしれないけど、少なくとも、僕は知らなかった。
同い年で、何でこんなにこいつら上手いねん・・・。
何聴いたらこんなになんねん。
誰に教えてもらってん。
頭の中はショックでパニック状態だった。
「ほなソロソロやろか・・・」シャラがさわやかに言った。
「おっ、ちょ、ちょっと待ってくれ・・なんやベースアンプ調子悪いみたいで・・・音出ーへんねん」
「ジャック入れてるとこそこでええんか?」
「お前ボリューム上がってへんやんけ!」
「お前ディストーション上ってんで!そんなんいらんやんけ!」
二人のギターリストに矢継ぎ早に指摘され、益々パニックを起こす。
もう必死であった。
取りあえず音が出た。
曲はモントローズの"I got the fire"だ!
この曲はイントロはギターだけのリフに続きベースがC/D/Aと単音を弾くだけだ!
シャラが颯爽にイントロを弾いた。
(おぉ!イントロギター、レコードみたいや!!完璧やんけ!、そろそろ俺の出番や)
僕は思いっきり弾いたC/D/A!!!
そこでギター二人は思いっきりのけぞってひっくり返り大爆笑した!
そのコケ方はまさにコントだった・・コントである。
「えっ?どーしたん?」僕は戸惑いながら聞いた。
「アホかお前!笑わすな、ボケ!どこ弾いてんねん!」シャラがヒーヒー笑いながら言った。
「ごめん、アンプがおかしいのな?」僕は動揺して何を言っているか不明になった。
「ちゃう、ちゃう」ロンゲのNが半笑いで言った。
「ベース調子悪いんかな?」僕はベースのせいにし始めた・・・。
「ちゃう、ちゃう」ロンゲN君は冷静に言った。
「チューニングも悪いけど、弾けてへんで、音間違うてるでぇ音」ロンゲのN君は笑っているが目がマジだった。
「ココとココとココや」シャラが教えてくれた音は全て自分が弾いていたところとは全く違っていた。
二人の天才ギターリストは瞬時に僕のベースの実力を悟った。
「取りあえず、チューニングやろか、ベース一弦づつ弾いてみて」シャラが丁寧に糸巻きをまわしてチューニングしてくれた。
かなり、違っていた・・・・。
「ほな、教えたるわ。一個ずつな。簡単やから・・気にすんな」シャラは優しく音を教えてくれた。
あっという間の2時間だった。
ドラムのことも何も記憶に無い初練習だった。
恐らく、僕は無視され練習をしていたような気がする・・・。
ロンゲのN君の僕を見る目が怖かった・・。
小学生が大学の予備校に入ったようなもんだった・・・。
それでもシャラは僕をクビにすることは無かった。
シャラの爽やかな笑顔がまぶしかった。
その日の夜、家で僕はシャラに教えてもらったフレーズを必死で練習した。
放課後、シャラとのっぽのA君と一緒に大国町のスタジオへ行った。
四角いハードケースは重かった。
みんなの歩みについていけず、みんなの後方を坊主頭の僕は汗びっしょりになりながら小走りにがんばった。
4時に予約をしたスタジオにはもう一人ギターリストがいた。
シャラの幼馴染のロンゲのN君だ。
年は同い年だけれど、最早ベテランの風格があった。
いかにもギターが上手そうなロンゲのN君を紹介され、みんなと一緒にスタジオの中に入った。
二井原実、初めてのスタジオ体験である。
何もかもが本格的だと思った、。
ドラムセット、ギターアンプが2台、ベースアンプ、防音された壁、マイクスタンド、PA・・・・。
ベースアンプはヤマハの100ワットクラスのベースアンプだった。
僕のベースアンプは50ワットでつまみは3~4数個あるだけでとてもシンプルだったのに対して、このベースアンプには沢山のツマミがあり、インプットも数個有った。
(げっ!なんじゃこれ・・どこに「線」差し込んだらええねん。なんや、よーさんツマミ有るで・・。)
モタモタしている僕の後ろではギターリスト二人ともアンプから音が出ている。
それも、今まで聞いたことも無いほどの大きな音だ。
そして、一番驚いたのは二人のギターの上手さである。
(わぁ!こ、こいつら、なんや、無茶苦茶うまいやんけ・・・なんや無茶指動いてんで!目茶早弾きしてんで!それも、アドリブちゃうんか!!そや、これ、アドリブやぞ!なんで、こんなことできんねん!シャラ、めちゃくちゃ上手いけど、ロンゲのN君はもっと早いフレーズをこれでもかと言うぐらい弾き倒してるやん!!)
僕はショックだった、とてつもない衝撃だった。
初めて聴く生の爆音エレキギター、初めて聴く生の早弾き、わぁーレコードみたいやんけ。。
自分のベースの支度すら忘れて、しばし呆然と眺めていた。
僕の中学にはこんな凄いうまい奴はいなかった。
いたのかもしれないけど、少なくとも、僕は知らなかった。
同い年で、何でこんなにこいつら上手いねん・・・。
何聴いたらこんなになんねん。
誰に教えてもらってん。
頭の中はショックでパニック状態だった。
「ほなソロソロやろか・・・」シャラがさわやかに言った。
「おっ、ちょ、ちょっと待ってくれ・・なんやベースアンプ調子悪いみたいで・・・音出ーへんねん」
「ジャック入れてるとこそこでええんか?」
「お前ボリューム上がってへんやんけ!」
「お前ディストーション上ってんで!そんなんいらんやんけ!」
二人のギターリストに矢継ぎ早に指摘され、益々パニックを起こす。
もう必死であった。
取りあえず音が出た。
曲はモントローズの"I got the fire"だ!
この曲はイントロはギターだけのリフに続きベースがC/D/Aと単音を弾くだけだ!
シャラが颯爽にイントロを弾いた。
(おぉ!イントロギター、レコードみたいや!!完璧やんけ!、そろそろ俺の出番や)
僕は思いっきり弾いたC/D/A!!!
そこでギター二人は思いっきりのけぞってひっくり返り大爆笑した!
そのコケ方はまさにコントだった・・コントである。
「えっ?どーしたん?」僕は戸惑いながら聞いた。
「アホかお前!笑わすな、ボケ!どこ弾いてんねん!」シャラがヒーヒー笑いながら言った。
「ごめん、アンプがおかしいのな?」僕は動揺して何を言っているか不明になった。
「ちゃう、ちゃう」ロンゲのNが半笑いで言った。
「ベース調子悪いんかな?」僕はベースのせいにし始めた・・・。
「ちゃう、ちゃう」ロンゲN君は冷静に言った。
「チューニングも悪いけど、弾けてへんで、音間違うてるでぇ音」ロンゲのN君は笑っているが目がマジだった。
「ココとココとココや」シャラが教えてくれた音は全て自分が弾いていたところとは全く違っていた。
二人の天才ギターリストは瞬時に僕のベースの実力を悟った。
「取りあえず、チューニングやろか、ベース一弦づつ弾いてみて」シャラが丁寧に糸巻きをまわしてチューニングしてくれた。
かなり、違っていた・・・・。
「ほな、教えたるわ。一個ずつな。簡単やから・・気にすんな」シャラは優しく音を教えてくれた。
あっという間の2時間だった。
ドラムのことも何も記憶に無い初練習だった。
恐らく、僕は無視され練習をしていたような気がする・・・。
ロンゲのN君の僕を見る目が怖かった・・。
小学生が大学の予備校に入ったようなもんだった・・・。
それでもシャラは僕をクビにすることは無かった。
シャラの爽やかな笑顔がまぶしかった。
その日の夜、家で僕はシャラに教えてもらったフレーズを必死で練習した。
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by loudness_ex
| 2008-03-14 17:16
