1983年8月30日イギリス初公演!
イギリスはソーホースクエアーにあったアパートでメンバーとの共同生活が始まった。
アパートの目の前にはこぢんまりとした公園があった。

(写真の中央のレンガ色L字になっているビルがそのアパートだったような・・・まさに写真の感じです)
歩いて10分ほどのところに中華マーケットがあって、そこでお米や豆腐などの買出しをした。
みんなで買出しに出かけ、交代で料理をやったりしたなぁ。
朝はひぐっつあんが一番早起きだったと思う。
順番に朝シャンをして朝食を食べた。
食事に関しては外食が主で、中華とカレーとフィッシュ&チップスとマクドナルド以外、はっきり言ってイギリスの料理は口に合わなかった。
何度か伝統的なイギリスの郷土料理のレストランへ連れて行ってもらったけれど・・・・
残念ながら僕達の口には合わなかった。
お昼にはリハスタジオへ行ったり、何も無い時はアパートの近所のストリートへ散策に出かけた。
いつも4人一緒だった。
特にひぐっつあんは買い物が好きで、毎回ストリートへ行く度にブーツを買ったり、革ジャンを買ったり、アクセサリーを買ったり、帰国する時には荷物が大変なことになっていた。
夜にはメンバー全員がリヴィングに集まって、酒を飲みながら音楽を聴き漁ったり、4枚目の新曲を作ったりしたなぁ。
寝るのはだいたい夜中3時ごろだったと思う。
僕は忘れもしない経験をした。
ある日、ストリートで信号待ちしていたら、かなりお年を召したお爺さんが僕に近寄ってきた。
「君は日本人か?」と聞いてきた。
「はい、そうです」
そのお爺さんは物凄い怒りを抑えた形相で、僕に顔を近づけて来てこう言い放った。
「わしは日本人が大嫌いなんだよ!」(I HATE JAPS)
そして僕を睨みつけ立ち去った。
その瞬間、僕は凍りついた。
23年間生きてきて、生まれて初めてダイレクトに人種差別を体験した。
おじいさんとほんの30秒ほどの短いやり取りだったけれど、僕が感じた衝撃は甚大だった。
(きっとあのおじいさんは、先の戦争で日本軍と闘った人なのかもしれないなぁ・・・)
僕はとても複雑な気持ちになった。
その後、イギリスツアーなどでイギリスのメタルファンからかなり手荒い仕打ちを受けたけれど、それ以上に心の暖かい人が多かったので救われた。
こうした色んな経験を通じて、日本国内にいては分からない、世界の中の日本が垣間見ることが出来た。
1983年8月30日 イギリス初ライブ@Greyhound ロンドン・ハマースミス
ついにイギリスのライブの日が来た。
憧れであったイギリスでのライブである。
緊張や不安より、ウキウキ・ワクワク感で一杯だった。
会場はあまり広くないライブハウスだった。
ステージもひぐっつあんのドラムセットを置いたら、僕の立つスペースが殆ど無くなった。
PAもショボイ感じだった。
ステージモニターもあまり役に立つ代物とは思えなかった。
お昼過ぎ、LOUDNESSがサウンドチェックを始めた。
ドラムの音を作り出した途端、ライブハウスのオヤジが飛んできて叫んだ。
「な、なんじゃ~~こりゃ~~~!!う、うるさ~~~~~~~~い!! 音を下げんか~~い!!!!」
この発言に僕達は耳を疑った。
(おいおい俺たちはメタルバンドだぞ、それもLOUDNESSと言う名前までついている音のでかいメタルバンドだぞ!!)
とりあえずライブハウスの親父がうるさいのでリハーサル中は音量を絞った。
本番が始まった。
ドイツや、ベルギー、オランダのような一体感のある物凄い歓声はあまり無かったものの、オーディエンスは始終我々のLOUDNESSのライブに釘付けになっていたようだ。
ステージから見た感じでは、オーディエンスはメタルファンと言うより、メタルをやっているバンドマンが多く来ていたように思う。
実際、ステージからはモーターヘッドやシンリジーやハノイロックスのメンバーの顔が見えたし、かなり多くの有名ミュージシャンが来ていたようだ。
我々はマニアックなミュージシャンの興味の的だったようだ。
そりゃそうだろう、アルバムはまだ出ていない無名のメタルバンドだ、一般のオーディエンスが我々を知る由も無い。
今なら、インターネットと言う文明の利器で、デビュー前から世界中で注目を浴びることは珍しくないけれど。
それにしても、ステージから客席にいる雑誌でしか見たことのないスターの顔を見るのは妙な気分だった。
彼等の出しているオーラが凄いのか、ステージから見ていると目立つのよ!
いよいよライブが始まった。
ギターもベースも音量を普通の大きさに戻した。
我々にとっての普通の大きさだ。
オヤジが再び飛び出てきて頭を抱えながら空を仰いでいた!
その様子を見て、(音は大丈夫やな)と確信した。
1曲1曲進むごとに、クールなオーディエンスはバンドを批評する見方を止め、ライブを一緒に楽しみ始めた。
コブシを上げ、何やら叫んでいた。
彼等にとっては英語以外のメタルナンバーも新鮮だったのかもしれない。
タッカンの前にいた数名のオーディエンスは、タッカンがソロを弾くたびに、わざとタッカンに神を崇めるようなポーズを何度も繰り返した。
それがあまりに可笑しくて僕は歌いながら笑ってしまった。
終演後、シンリジーやハノイロックスのメンバーが挨拶に来てくれた。
そしてなんと伊藤政則さんもライブに来られていた。
「おぉ、みんなぁ~お疲れさん!なんか観ているこっちが緊張したよ。でも良かったな、ライブが評判で!ドイツとかも凄かったんだって?ほんとあちこちで、お前らの噂聞いているヨ、スゲーな!それにしても今日のライブは有名なミュージシャンが観に来ていたなぁ!びっくりだよ!LOUDNESS、ツアーだよ!ツアー!一にも二にもツアーしかないよ。あのアイアンメイデンやサクソン、デフレパードもみんなツアーででかくなった。ツアーのやらないバンドは世界では認められないし勝負できないんだよ。お前等なら出きる、ツアーできっと人気は出るぞ!頑張れよ!」
伊藤さんの激励は嬉しかった。
(ツアーか・・・ツアーってやっぱ大事なんやな)
僕はあまり冷たくない黒ビールを呑みながらライブハウスの外の空を見た。
外はいつの間にか小雨になっていた。
雨に濡れるロンドンの街が綺麗だった。
まるでサー・アーサー・コナン・ドイルのシャーロックホームズ本の挿絵のようだった。
ひぐっつあんもマー君もタッカンも充実した笑顔で幸せそうだった・・・・。
アパートの目の前にはこぢんまりとした公園があった。

(写真の中央のレンガ色L字になっているビルがそのアパートだったような・・・まさに写真の感じです)
歩いて10分ほどのところに中華マーケットがあって、そこでお米や豆腐などの買出しをした。
みんなで買出しに出かけ、交代で料理をやったりしたなぁ。
朝はひぐっつあんが一番早起きだったと思う。
順番に朝シャンをして朝食を食べた。
食事に関しては外食が主で、中華とカレーとフィッシュ&チップスとマクドナルド以外、はっきり言ってイギリスの料理は口に合わなかった。
何度か伝統的なイギリスの郷土料理のレストランへ連れて行ってもらったけれど・・・・
残念ながら僕達の口には合わなかった。
お昼にはリハスタジオへ行ったり、何も無い時はアパートの近所のストリートへ散策に出かけた。
いつも4人一緒だった。
特にひぐっつあんは買い物が好きで、毎回ストリートへ行く度にブーツを買ったり、革ジャンを買ったり、アクセサリーを買ったり、帰国する時には荷物が大変なことになっていた。
夜にはメンバー全員がリヴィングに集まって、酒を飲みながら音楽を聴き漁ったり、4枚目の新曲を作ったりしたなぁ。
寝るのはだいたい夜中3時ごろだったと思う。
僕は忘れもしない経験をした。
ある日、ストリートで信号待ちしていたら、かなりお年を召したお爺さんが僕に近寄ってきた。
「君は日本人か?」と聞いてきた。
「はい、そうです」
そのお爺さんは物凄い怒りを抑えた形相で、僕に顔を近づけて来てこう言い放った。
「わしは日本人が大嫌いなんだよ!」(I HATE JAPS)
そして僕を睨みつけ立ち去った。
その瞬間、僕は凍りついた。
23年間生きてきて、生まれて初めてダイレクトに人種差別を体験した。
おじいさんとほんの30秒ほどの短いやり取りだったけれど、僕が感じた衝撃は甚大だった。
(きっとあのおじいさんは、先の戦争で日本軍と闘った人なのかもしれないなぁ・・・)
僕はとても複雑な気持ちになった。
その後、イギリスツアーなどでイギリスのメタルファンからかなり手荒い仕打ちを受けたけれど、それ以上に心の暖かい人が多かったので救われた。
こうした色んな経験を通じて、日本国内にいては分からない、世界の中の日本が垣間見ることが出来た。
1983年8月30日 イギリス初ライブ@Greyhound ロンドン・ハマースミス
ついにイギリスのライブの日が来た。
憧れであったイギリスでのライブである。
緊張や不安より、ウキウキ・ワクワク感で一杯だった。
会場はあまり広くないライブハウスだった。
ステージもひぐっつあんのドラムセットを置いたら、僕の立つスペースが殆ど無くなった。
PAもショボイ感じだった。
ステージモニターもあまり役に立つ代物とは思えなかった。
お昼過ぎ、LOUDNESSがサウンドチェックを始めた。
ドラムの音を作り出した途端、ライブハウスのオヤジが飛んできて叫んだ。
「な、なんじゃ~~こりゃ~~~!!う、うるさ~~~~~~~~い!! 音を下げんか~~い!!!!」
この発言に僕達は耳を疑った。
(おいおい俺たちはメタルバンドだぞ、それもLOUDNESSと言う名前までついている音のでかいメタルバンドだぞ!!)
とりあえずライブハウスの親父がうるさいのでリハーサル中は音量を絞った。
本番が始まった。
ドイツや、ベルギー、オランダのような一体感のある物凄い歓声はあまり無かったものの、オーディエンスは始終我々のLOUDNESSのライブに釘付けになっていたようだ。
ステージから見た感じでは、オーディエンスはメタルファンと言うより、メタルをやっているバンドマンが多く来ていたように思う。
実際、ステージからはモーターヘッドやシンリジーやハノイロックスのメンバーの顔が見えたし、かなり多くの有名ミュージシャンが来ていたようだ。
我々はマニアックなミュージシャンの興味の的だったようだ。
そりゃそうだろう、アルバムはまだ出ていない無名のメタルバンドだ、一般のオーディエンスが我々を知る由も無い。
今なら、インターネットと言う文明の利器で、デビュー前から世界中で注目を浴びることは珍しくないけれど。
それにしても、ステージから客席にいる雑誌でしか見たことのないスターの顔を見るのは妙な気分だった。
彼等の出しているオーラが凄いのか、ステージから見ていると目立つのよ!
いよいよライブが始まった。
ギターもベースも音量を普通の大きさに戻した。
我々にとっての普通の大きさだ。
オヤジが再び飛び出てきて頭を抱えながら空を仰いでいた!
その様子を見て、(音は大丈夫やな)と確信した。
1曲1曲進むごとに、クールなオーディエンスはバンドを批評する見方を止め、ライブを一緒に楽しみ始めた。
コブシを上げ、何やら叫んでいた。
彼等にとっては英語以外のメタルナンバーも新鮮だったのかもしれない。
タッカンの前にいた数名のオーディエンスは、タッカンがソロを弾くたびに、わざとタッカンに神を崇めるようなポーズを何度も繰り返した。
それがあまりに可笑しくて僕は歌いながら笑ってしまった。
終演後、シンリジーやハノイロックスのメンバーが挨拶に来てくれた。
そしてなんと伊藤政則さんもライブに来られていた。
「おぉ、みんなぁ~お疲れさん!なんか観ているこっちが緊張したよ。でも良かったな、ライブが評判で!ドイツとかも凄かったんだって?ほんとあちこちで、お前らの噂聞いているヨ、スゲーな!それにしても今日のライブは有名なミュージシャンが観に来ていたなぁ!びっくりだよ!LOUDNESS、ツアーだよ!ツアー!一にも二にもツアーしかないよ。あのアイアンメイデンやサクソン、デフレパードもみんなツアーででかくなった。ツアーのやらないバンドは世界では認められないし勝負できないんだよ。お前等なら出きる、ツアーできっと人気は出るぞ!頑張れよ!」
伊藤さんの激励は嬉しかった。
(ツアーか・・・ツアーってやっぱ大事なんやな)
僕はあまり冷たくない黒ビールを呑みながらライブハウスの外の空を見た。
外はいつの間にか小雨になっていた。
雨に濡れるロンドンの街が綺麗だった。
まるでサー・アーサー・コナン・ドイルのシャーロックホームズ本の挿絵のようだった。
ひぐっつあんもマー君もタッカンも充実した笑顔で幸せそうだった・・・・。
by loudness_ex
| 2008-12-14 13:24
