LOUDNESS デビューアルバムのレコーディング
ご意見、ご感想、いつでも気軽にメール下さい。
vocalism.niihara@gmail.com
基本的に僕の方から個人への返事はしませんが、よほど返信が必要と思われる方へは当然返事させてもらいます・・・。
これはと思うご意見、ご質問は、質問者は匿名の上、このブログ上でお答えさせてもらいます。
:::::::::::::::::::::::::::
1981年8月、車に揺られて、僕たち4人は三重県の山奥まで来た。
LOUDNESSデビューアルバムのレコーディングであり、僕にとっては生まれて初めてのレコーディングである。
レコーディングは三重県鈴鹿のチェストナットスタジオと言うところだった。
三重の山奥にあった合宿型スタジオだった。
「えらいまぁ・・・自然の中にまで来たねぇ・・」
そんなことを誰かが思わず口に出すほど大自然に囲まれたスタジオだった。
僕はオーディションの時にレコーディングスタジオを経験しているので、さすがに2度目となると少しは余裕があった。
とは言うものの、いったいレコーディングというものが、実際どんな風に行われるのか僕には謎だった。
中学生の時に、初めてレッドツェッペリンやピンクフロイド、ディープパープルなどのLPを聞いた時、そのステレオから出てくる圧倒的かつ超人的な演奏に「この人達は人間じゃない、どっか別の星から来た人達だ」と腰を抜かしていたのだが、今まさに自分がその別の星の人間になりかけているのだ。
いや・・本当に自分があんな風になれるのか・・スタジオに着いても半信半疑だった。
僕は異常なまでの興奮でまるでフワフワと空を飛んでいるような気分だった。
いよいよ、スタジオでレコーディングがスタートした。
レコーディングには大きく分けると二つの作業がある。
一つは「録音作業」、もう一つはミックスダウン(トラックダウンとも呼ばれる)と言われる「録音した音をまとめる作業」だ。
「録音」も大まかに分けて二つの作業に分けることが出来る。
一つは基本の「バッキングリズム録音」である。
バッキングリズムは文字通り曲の核となる部分である。
ドラムパートを中心にリズムパート全般を指す。
その中にはベースも入るしリズムギター(バッキングギター)も含まれる。
バンドによってはこの時点でドラム、ベース、ギターを一斉に演奏して全て録音する場合もあるし、取りあえずドラムだけ良い演奏が録音できることをメインに考え、ドラム録音終了後にベースやギターなどを録音することも多い。
もう一つは僕達の間では「うわ物、かぶせ物」と呼ばれる「ダビング録音」である。
「ダビング録音」とは文字通りそのリズムトラックの上に、ヴォーカルや各ソロを「ダビングする作業」である。
ここチェストナットスタジオでは「録音作業」がメインであった。
LOUDNESSのレコーディングはおおよそこんな風に進む。
1 スタジオ内に各楽器をセッティングしてその録音する音を作る。特にドラムはここでしっかり音を作る。
2各楽器の録音の音が決まると、演奏する時に聞くヘッドホーンのバランスをとる。
3録音する曲のテンポを決定して、そのテンポをリズムマシーンのようなもので出して各楽器を演奏する人はそれを聞きながら演奏する。
ちなみに我々業界の人間はそのリズムマシーンのことを「ドンカマ」と呼んだりするのだが、海外では「クリック」と呼ぶのが一般的だ。
人やバンドによっては「ドンカマ」を無しでやることもある。
「ドンカマ」が何故必要かというと、人は興奮するとリズムが早くなったり、遅くなったり一定したリズムで演奏できないので、Voやギターをダビングする時に「ドンカマ」があれば多少ドラムのリズムの揺れがあってもリズムを見失うことが無いからだ。
まぁー全てをセーノで一発で録音できるバンドや音楽なら「ドンカマ」は必要無いだろうけれど、そういう芸当が出来る人(バンド)は相当な達人であろう。
ちなみに、美空ひばりさんなどの演歌大御所はすべてを一発録音するそうだ。
僕は赤坂の日本コロムビアのスタジオで、偶然美空ひばりさんがレコーディングしているのをこの目で見たことがあるので間違いない。
ちょっと話が脱線するけれど、この美空ひばりさんは凄いよ!!!
美空さんがレコーディングする日はスタジオ内はまさに厳戒態勢状態であった。
日本コロムビア本社のスタジオに黒塗りのでっか~~~い外車で乗りつけ、会社の役員クラスの人間全員が玄関まで出迎えた。
社内はピリピリムード全開でスタジオまでの廊下には赤い絨毯が敷かれた。
スタジオの内外のあちらこちらにSPのような黒い背広姿にサングラスと言う一見「ヤ0ザ」と思われるような強面の怖そうなおじさん、お兄さんが沢山目を光らしていた。
スタジオにはオーケストラやドラム、ギターなどミュージシャンが全員スタンバイしていて、その中央に美空さんのマイクが神々しく立っていた。
録音は美空さんを含めバックミュージシャン全員が一斉に演奏、歌って、一発ライブレコーディングである。
美空さんは基本的に1~2回程度しか歌わない、と言うか、その1回の歌でスタジオ内は大興奮、感動の嵐で拍手喝采、中には感動で泣いている人もいたぞ!
で、仮に美空さんが間違って歌ったとしても、美空さんの歌に演奏を合わせるそうな・・・・。
僕はその現場のすべて一部始終をこの目でしかと見たもんね~~~♪
スタジオの入り口にその日のレコーディングアーティスト名を書いてあるのだけど「LOUDNESS」と書いている隣が「美空ひばり」って・・・日本コロムビア恐るべし!
今の時代なら、その模様を携帯の写真にとってブログのネタになるのだろうね!
3音やリズムテンポが決まるといよいよバッキング演奏が始まる。ギターソロのパートは雰囲気で弾く場合もあるし、ソロを弾かずにギターのバッキングリズムだけ弾く場合もある。
で、意外とこの時に弾いたギターソロが結局ベストテイクになる場合も多い。
ヴォーカルも一応一緒に歌うけれど、大体この時点では歌詞やメロディーが出来上がっていないので、リズム録音の時のヴォーカルは鼻歌程度で曲の船頭役に徹することが多い。
ちなみに、ロニージェームスディオ師匠はこの時でも本気モードで歌い上げるそうだ。
色んなメロディーや歌詞を実験するためだそうな。
4リズムバッキング出来上がったらようやくヴォーカルやコーラス、ギターソロ、その他キーボードやアコ―スティックギターなどのオーバーダビングに突入する。
LOUDNESSのレコーディング、一斉に演奏が始まった。
曲は「LOUDNESS」だったと思う。
タッカンがあの豪快なアームダウンをかき鳴らした。
僕はヘッドホーンの中で暴れまわっているような、ギターの唸り泣き叫ぶ音を聞きながら、手に汗を握り身震いがした。
この世のものとは思えないようなギターの叫びだった!
タッカンのロックへの思い、自分は今生まれ変わるんだと言う決意がこのギターの雄たけびと化した。
まさに、今LOUDNESSが誕生しようとしている瞬間だった。
タッカンのアームダウンは本物の恐竜が叫んでいるようなサウンドだった。
そして長いフィードバック音・・・
そしてタッカンがカウントを取った。
「フィーン!フィーン!フィーン!!」
ひぐっつあんとマー君が渾身の力を込めてアクセントを入れた。
タッカンがメインリフをかき鳴らした。
この瞬間だった、僕は予定の無い雄たけびを叫んでしまった。
“WE ARE LOUDNESS!!!!! COME ON NOW!!WOOOO~~~~~~YEAH!!!!”
極度の興奮と感動がそうさせたのかもしれない。
LOUDNESSの怒涛のリズムがスタジオを揺らした!
僕はもうこのヘビーでザクザクとしたLOUDNESSのリズムに心がはちきれそうになった。
ひぐっつあんのビートは力強くパワフルだった。
あのリハーサルスタジオとは違う鬼気迫る表情だった。
この瞬間「デイビー」ではなく、そうあの「ひぐっつあん」に変身したのだ。
ドラムがこれほど大きな、雷のような激しい音だとは思わなかった。
スネア、キックドラム、タムタム、シンバルが剃刀のような鋭いビートを叫び邪悪なエネルギーをかき消し、ドラム全体が神々しい重量機関車に見えた。
こんなに激しく感情のこもったドラムは今まで見たことが無かった。
マー君のベースも凄まじい重低音をかき鳴らしLOUDNESSのサウンドを支えた。
時折見せるベースのラインがバンド全体に大きな刺激を与え、益々この重量機関車は熱くなった。
ひぐっつあんとの相性は抜群だった。
この時、マー君は若干19歳だったと思うけれど、その瑞々しいビートはLOUDNESSと言う生まれたばかりの恐竜の息吹そのものだった。
ザクザクと刻まれるギターも躍動感でいっぱいだった。
タッカンのギターソロでスタジオ中が激震した。
まさにニューギターヒーローが降臨した瞬間だった。
ヴァンへーレンでもない、マイケルシェンカーでもない、そこにあるサウンドは高崎晃そのものだった。
超絶なギターソロはリハーサルスタジオで山ほど聞かせてもらってはいたけれど、ヘッドホーンでこうしてあらためて聞くとそのクリアーで細かく表現されるギターソロの一音一音が正確で華麗で狂気的であることを思い知った。
本当にこの人は化け物だと思った、ギターの神だと思った。
この3人の繰り出すサウンドに身を任せていると、このままどこか遠くへ飛んでいくのではないかと思うほどに酔いしれた・・。
(これは、これは凄い、凄いバンドやんけ~~!!)
そして、僕はこの超重量級サウンドを聞きながら歌った!叫んだ!吼えた!!
ついに、LOUDNESSのハードでヘビーなサウンドに僕の声が混ざったのをヘッドホーンで聞いた!
(フンギャ~~~!コリャ~~~ありえ~~ん世界~~~~助けて~~~~!!)
僕はネジが外れた・・・・。
僕はあらためてこのバンドの持つポテンシャルを確信した。
このバンドが持つサウンドが世界中どこにもないユニークで斬新で新鮮な魅力に溢れていることを。
僕はその新しいサウンドに感動で震えながら、全身全霊、声の続く限りマイクに向かって叫び歌った・・・・。
もうすでにバンドの商業的な結果などどうでも良いような気がした。
僕はこのLOUDNESSのサウンドに出会えただけで充分幸せで満たされた。
それ以上は恐れ多くて望めないような気分だった。
京都から上京して半年、僕の中の偉大な存在が「まだまだお前の旅はこれからだよ・・・」と笑っているような気がした・・・。
vocalism.niihara@gmail.com
基本的に僕の方から個人への返事はしませんが、よほど返信が必要と思われる方へは当然返事させてもらいます・・・。
これはと思うご意見、ご質問は、質問者は匿名の上、このブログ上でお答えさせてもらいます。
:::::::::::::::::::::::::::
1981年8月、車に揺られて、僕たち4人は三重県の山奥まで来た。
LOUDNESSデビューアルバムのレコーディングであり、僕にとっては生まれて初めてのレコーディングである。
レコーディングは三重県鈴鹿のチェストナットスタジオと言うところだった。
三重の山奥にあった合宿型スタジオだった。
「えらいまぁ・・・自然の中にまで来たねぇ・・」
そんなことを誰かが思わず口に出すほど大自然に囲まれたスタジオだった。
僕はオーディションの時にレコーディングスタジオを経験しているので、さすがに2度目となると少しは余裕があった。
とは言うものの、いったいレコーディングというものが、実際どんな風に行われるのか僕には謎だった。
中学生の時に、初めてレッドツェッペリンやピンクフロイド、ディープパープルなどのLPを聞いた時、そのステレオから出てくる圧倒的かつ超人的な演奏に「この人達は人間じゃない、どっか別の星から来た人達だ」と腰を抜かしていたのだが、今まさに自分がその別の星の人間になりかけているのだ。
いや・・本当に自分があんな風になれるのか・・スタジオに着いても半信半疑だった。
僕は異常なまでの興奮でまるでフワフワと空を飛んでいるような気分だった。
いよいよ、スタジオでレコーディングがスタートした。
レコーディングには大きく分けると二つの作業がある。
一つは「録音作業」、もう一つはミックスダウン(トラックダウンとも呼ばれる)と言われる「録音した音をまとめる作業」だ。
「録音」も大まかに分けて二つの作業に分けることが出来る。
一つは基本の「バッキングリズム録音」である。
バッキングリズムは文字通り曲の核となる部分である。
ドラムパートを中心にリズムパート全般を指す。
その中にはベースも入るしリズムギター(バッキングギター)も含まれる。
バンドによってはこの時点でドラム、ベース、ギターを一斉に演奏して全て録音する場合もあるし、取りあえずドラムだけ良い演奏が録音できることをメインに考え、ドラム録音終了後にベースやギターなどを録音することも多い。
もう一つは僕達の間では「うわ物、かぶせ物」と呼ばれる「ダビング録音」である。
「ダビング録音」とは文字通りそのリズムトラックの上に、ヴォーカルや各ソロを「ダビングする作業」である。
ここチェストナットスタジオでは「録音作業」がメインであった。
LOUDNESSのレコーディングはおおよそこんな風に進む。
1 スタジオ内に各楽器をセッティングしてその録音する音を作る。特にドラムはここでしっかり音を作る。
2各楽器の録音の音が決まると、演奏する時に聞くヘッドホーンのバランスをとる。
3録音する曲のテンポを決定して、そのテンポをリズムマシーンのようなもので出して各楽器を演奏する人はそれを聞きながら演奏する。
ちなみに我々業界の人間はそのリズムマシーンのことを「ドンカマ」と呼んだりするのだが、海外では「クリック」と呼ぶのが一般的だ。
人やバンドによっては「ドンカマ」を無しでやることもある。
「ドンカマ」が何故必要かというと、人は興奮するとリズムが早くなったり、遅くなったり一定したリズムで演奏できないので、Voやギターをダビングする時に「ドンカマ」があれば多少ドラムのリズムの揺れがあってもリズムを見失うことが無いからだ。
まぁー全てをセーノで一発で録音できるバンドや音楽なら「ドンカマ」は必要無いだろうけれど、そういう芸当が出来る人(バンド)は相当な達人であろう。
ちなみに、美空ひばりさんなどの演歌大御所はすべてを一発録音するそうだ。
僕は赤坂の日本コロムビアのスタジオで、偶然美空ひばりさんがレコーディングしているのをこの目で見たことがあるので間違いない。
ちょっと話が脱線するけれど、この美空ひばりさんは凄いよ!!!
美空さんがレコーディングする日はスタジオ内はまさに厳戒態勢状態であった。
日本コロムビア本社のスタジオに黒塗りのでっか~~~い外車で乗りつけ、会社の役員クラスの人間全員が玄関まで出迎えた。
社内はピリピリムード全開でスタジオまでの廊下には赤い絨毯が敷かれた。
スタジオの内外のあちらこちらにSPのような黒い背広姿にサングラスと言う一見「ヤ0ザ」と思われるような強面の怖そうなおじさん、お兄さんが沢山目を光らしていた。
スタジオにはオーケストラやドラム、ギターなどミュージシャンが全員スタンバイしていて、その中央に美空さんのマイクが神々しく立っていた。
録音は美空さんを含めバックミュージシャン全員が一斉に演奏、歌って、一発ライブレコーディングである。
美空さんは基本的に1~2回程度しか歌わない、と言うか、その1回の歌でスタジオ内は大興奮、感動の嵐で拍手喝采、中には感動で泣いている人もいたぞ!
で、仮に美空さんが間違って歌ったとしても、美空さんの歌に演奏を合わせるそうな・・・・。
僕はその現場のすべて一部始終をこの目でしかと見たもんね~~~♪
スタジオの入り口にその日のレコーディングアーティスト名を書いてあるのだけど「LOUDNESS」と書いている隣が「美空ひばり」って・・・日本コロムビア恐るべし!
今の時代なら、その模様を携帯の写真にとってブログのネタになるのだろうね!
3音やリズムテンポが決まるといよいよバッキング演奏が始まる。ギターソロのパートは雰囲気で弾く場合もあるし、ソロを弾かずにギターのバッキングリズムだけ弾く場合もある。
で、意外とこの時に弾いたギターソロが結局ベストテイクになる場合も多い。
ヴォーカルも一応一緒に歌うけれど、大体この時点では歌詞やメロディーが出来上がっていないので、リズム録音の時のヴォーカルは鼻歌程度で曲の船頭役に徹することが多い。
ちなみに、ロニージェームスディオ師匠はこの時でも本気モードで歌い上げるそうだ。
色んなメロディーや歌詞を実験するためだそうな。
4リズムバッキング出来上がったらようやくヴォーカルやコーラス、ギターソロ、その他キーボードやアコ―スティックギターなどのオーバーダビングに突入する。
LOUDNESSのレコーディング、一斉に演奏が始まった。
曲は「LOUDNESS」だったと思う。
タッカンがあの豪快なアームダウンをかき鳴らした。
僕はヘッドホーンの中で暴れまわっているような、ギターの唸り泣き叫ぶ音を聞きながら、手に汗を握り身震いがした。
この世のものとは思えないようなギターの叫びだった!
タッカンのロックへの思い、自分は今生まれ変わるんだと言う決意がこのギターの雄たけびと化した。
まさに、今LOUDNESSが誕生しようとしている瞬間だった。
タッカンのアームダウンは本物の恐竜が叫んでいるようなサウンドだった。
そして長いフィードバック音・・・
そしてタッカンがカウントを取った。
「フィーン!フィーン!フィーン!!」
ひぐっつあんとマー君が渾身の力を込めてアクセントを入れた。
タッカンがメインリフをかき鳴らした。
この瞬間だった、僕は予定の無い雄たけびを叫んでしまった。
“WE ARE LOUDNESS!!!!! COME ON NOW!!WOOOO~~~~~~YEAH!!!!”
極度の興奮と感動がそうさせたのかもしれない。
LOUDNESSの怒涛のリズムがスタジオを揺らした!
僕はもうこのヘビーでザクザクとしたLOUDNESSのリズムに心がはちきれそうになった。
ひぐっつあんのビートは力強くパワフルだった。
あのリハーサルスタジオとは違う鬼気迫る表情だった。
この瞬間「デイビー」ではなく、そうあの「ひぐっつあん」に変身したのだ。
ドラムがこれほど大きな、雷のような激しい音だとは思わなかった。
スネア、キックドラム、タムタム、シンバルが剃刀のような鋭いビートを叫び邪悪なエネルギーをかき消し、ドラム全体が神々しい重量機関車に見えた。
こんなに激しく感情のこもったドラムは今まで見たことが無かった。
マー君のベースも凄まじい重低音をかき鳴らしLOUDNESSのサウンドを支えた。
時折見せるベースのラインがバンド全体に大きな刺激を与え、益々この重量機関車は熱くなった。
ひぐっつあんとの相性は抜群だった。
この時、マー君は若干19歳だったと思うけれど、その瑞々しいビートはLOUDNESSと言う生まれたばかりの恐竜の息吹そのものだった。
ザクザクと刻まれるギターも躍動感でいっぱいだった。
タッカンのギターソロでスタジオ中が激震した。
まさにニューギターヒーローが降臨した瞬間だった。
ヴァンへーレンでもない、マイケルシェンカーでもない、そこにあるサウンドは高崎晃そのものだった。
超絶なギターソロはリハーサルスタジオで山ほど聞かせてもらってはいたけれど、ヘッドホーンでこうしてあらためて聞くとそのクリアーで細かく表現されるギターソロの一音一音が正確で華麗で狂気的であることを思い知った。
本当にこの人は化け物だと思った、ギターの神だと思った。
この3人の繰り出すサウンドに身を任せていると、このままどこか遠くへ飛んでいくのではないかと思うほどに酔いしれた・・。
(これは、これは凄い、凄いバンドやんけ~~!!)
そして、僕はこの超重量級サウンドを聞きながら歌った!叫んだ!吼えた!!
ついに、LOUDNESSのハードでヘビーなサウンドに僕の声が混ざったのをヘッドホーンで聞いた!
(フンギャ~~~!コリャ~~~ありえ~~ん世界~~~~助けて~~~~!!)
僕はネジが外れた・・・・。
僕はあらためてこのバンドの持つポテンシャルを確信した。
このバンドが持つサウンドが世界中どこにもないユニークで斬新で新鮮な魅力に溢れていることを。
僕はその新しいサウンドに感動で震えながら、全身全霊、声の続く限りマイクに向かって叫び歌った・・・・。
もうすでにバンドの商業的な結果などどうでも良いような気がした。
僕はこのLOUDNESSのサウンドに出会えただけで充分幸せで満たされた。
それ以上は恐れ多くて望めないような気分だった。
京都から上京して半年、僕の中の偉大な存在が「まだまだお前の旅はこれからだよ・・・」と笑っているような気がした・・・。
by loudness_ex
| 2008-06-26 09:56