ミッシェルが来る・・
"The Everlasting"の録音が終わってすぐにイヴェントのツアーに出て東京に戻ってきた・・・
諸々のスケジュールを粛々とこなしながらも、なんか燃え尽き症候群みたいになってしまったのよ。
遅くなったけれど、「歴史もの」更新。
では、どーぞ。
********************************
1984年5月8日 日本帰国。
色んな思いを胸に無事帰国。
アパートに戻ると留守電が入っていた。
“Hi Mick! This is Michele,how was the Eourope tour ?..”
(わっ!!) それはミッシェルからの国際電話だった
ミッシェルの声を聞くのは本当に久しぶりだった。
彼女の声を聞いていると、なんだか胸が温かくなって、ツアーの喧騒や緊張の連続の疲れも一気に吹っ飛んだ。
昨日まで、日の丸を背に立ててヨーロッパのメタルキッズを相手に闘っていた自分が、普通の若い青年「二井原実」へと戻った。
こういう気分の転換は必要である。
ずっと気が張り詰めていてはどこかで無理が来て精神の疲れが出る。
ミッシェルとの出会いは神様の計らいなのかもしれない。
「今月あなたに会いに日本へ行きたいのだけど・・・」
(ふんぎゃ!!まじっすか?日本に来るんですか???)
僕は喜びと驚きとで腰が抜けた。
勿論、問題があるわけが無い。
ただ、あるとしたらこの6畳しかないワンルームのアパートだ。
こんな狭い部屋を見たらどう思うだろう・・・・。
そして僕には車も無かった。
(ひゃ~ミッシェルと一緒に電車で色んなところ行って大丈夫か?ちょっと目立ち過ぎるかも・・・)
僕はそのころ、電車に乗っていて特に高校生に見つかると大変な騒ぎになっていたのだ。
サイン攻めと言うか、とにかくあっと言う間に数十人の高校生集団に取り囲まれて身動きが取れなくなって、駅員さんに救助してもらうこともしばしばあった。
だからと言って、アパートで二人でじっとしているわけにもいかず・・・。
ところが、タクシーに乗るほど経済的に余裕も無かった。
僕はミッシェルの接待をどうすべきかで途方に暮れた。
今から考えると本当に無邪気であった。
恋人同士、そんな気遣いは必要ないのだ。
特に何もする必要など無いのである。
二人見つめ合ってキスしていればそれで充分OKなのである。
二人一緒にいたらそれでOKなのである。
その日の晩、とにかく僕はアメリカへ国際電話した。
「チケットも取ったし、来週の火曜日のお昼には成田に着くわ!初めての日本!と言うか、私、始めての海外旅行よ!!」
ミッシェルは興奮気味に喋り倒した。(笑)
ミッシェルの嬉しそうな話を聞きながら、(まぁ~何とかなるか・・・・)と成り行きに任せることにした。
観光って東京タワー、浅草、上野動物園、原宿、渋谷、横浜、熱海、箱根、富士山・・・
よくよく考えると、上京して3年あまり経つのに、関東エリアのことを殆ど知らないことに気がついた。
月曜の早朝、電話が鳴り響いた。
サンフランシスコ空港からの電話だった。
日本語を喋る空港関係者だった。
「二井原さんですか?」
「はい」
「こちら***航空の+++と申します。ミッシェルさんからの伝言です」
「え?ミッシェル?何ですか?」
「はい、ミッシェルさんのパスポートの不備で来日が来週以降に延期になりますとのことです」
「あっそうですか・・・わざわざありがとうございます」
僕は受話器を置いた。
来週以降か・・・僕は何気にスケジュールを見た。
(げっ!!!!!LOUDNESSの日本ツアーとかぶってるやん!!!!)
6月9日札幌からツアーが開始される。
それまではオフだったのでミッシェルが来ても大丈夫だと思っていたのだ。
僕は意を決して事務所へ電話して社長へ直談判した。
「社長、お願いがあります。ツアーに同行者連れって行っていいでしょうか?」
「同行者??なんだよそれ。誰?」
「いや・・・あの・・アメリカで知り合った女性で、今はガールフレンドで・・・」
「女か?」
「あ、はい・・・恐縮ですぅ」
「と言うことはアメリカ人か?」
「はい、思いっきり白人の女の子です」
「ん・・・・」
社長の重いため息が聞こえてきた。
非常に仕事に厳しいプロフェッショナルな社長であった。
怒鳴りつけらて怒られる覚悟での直談判だった。
「よし、分かった。今回は許可する」
僕は耳を疑った。
「えっ???まじですか??ほんまに良いんですか?」
「そのかわりチケット代、宿泊代、お前が責任を持って払え」
「あ・・・はい」
「アメリカのデビューが決まっている、二井原には少しでも英語に慣れてもらわないと困るからな。語学は異性から学ぶに限る!彼女がいる間一切日本語は禁止だぞ。それが条件だ!」
さすがアメリカでの仕事が長かった社長である。
こうして、観光接待の心配はどこへやら、ミッシェルを日本全国連れて行くことになった・・・
諸々のスケジュールを粛々とこなしながらも、なんか燃え尽き症候群みたいになってしまったのよ。
遅くなったけれど、「歴史もの」更新。
では、どーぞ。
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1984年5月8日 日本帰国。
色んな思いを胸に無事帰国。
アパートに戻ると留守電が入っていた。
“Hi Mick! This is Michele,how was the Eourope tour ?..”
(わっ!!) それはミッシェルからの国際電話だった
ミッシェルの声を聞くのは本当に久しぶりだった。
彼女の声を聞いていると、なんだか胸が温かくなって、ツアーの喧騒や緊張の連続の疲れも一気に吹っ飛んだ。
昨日まで、日の丸を背に立ててヨーロッパのメタルキッズを相手に闘っていた自分が、普通の若い青年「二井原実」へと戻った。
こういう気分の転換は必要である。
ずっと気が張り詰めていてはどこかで無理が来て精神の疲れが出る。
ミッシェルとの出会いは神様の計らいなのかもしれない。
「今月あなたに会いに日本へ行きたいのだけど・・・」
(ふんぎゃ!!まじっすか?日本に来るんですか???)
僕は喜びと驚きとで腰が抜けた。
勿論、問題があるわけが無い。
ただ、あるとしたらこの6畳しかないワンルームのアパートだ。
こんな狭い部屋を見たらどう思うだろう・・・・。
そして僕には車も無かった。
(ひゃ~ミッシェルと一緒に電車で色んなところ行って大丈夫か?ちょっと目立ち過ぎるかも・・・)
僕はそのころ、電車に乗っていて特に高校生に見つかると大変な騒ぎになっていたのだ。
サイン攻めと言うか、とにかくあっと言う間に数十人の高校生集団に取り囲まれて身動きが取れなくなって、駅員さんに救助してもらうこともしばしばあった。
だからと言って、アパートで二人でじっとしているわけにもいかず・・・。
ところが、タクシーに乗るほど経済的に余裕も無かった。
僕はミッシェルの接待をどうすべきかで途方に暮れた。
今から考えると本当に無邪気であった。
恋人同士、そんな気遣いは必要ないのだ。
特に何もする必要など無いのである。
二人見つめ合ってキスしていればそれで充分OKなのである。
二人一緒にいたらそれでOKなのである。
その日の晩、とにかく僕はアメリカへ国際電話した。
「チケットも取ったし、来週の火曜日のお昼には成田に着くわ!初めての日本!と言うか、私、始めての海外旅行よ!!」
ミッシェルは興奮気味に喋り倒した。(笑)
ミッシェルの嬉しそうな話を聞きながら、(まぁ~何とかなるか・・・・)と成り行きに任せることにした。
観光って東京タワー、浅草、上野動物園、原宿、渋谷、横浜、熱海、箱根、富士山・・・
よくよく考えると、上京して3年あまり経つのに、関東エリアのことを殆ど知らないことに気がついた。
月曜の早朝、電話が鳴り響いた。
サンフランシスコ空港からの電話だった。
日本語を喋る空港関係者だった。
「二井原さんですか?」
「はい」
「こちら***航空の+++と申します。ミッシェルさんからの伝言です」
「え?ミッシェル?何ですか?」
「はい、ミッシェルさんのパスポートの不備で来日が来週以降に延期になりますとのことです」
「あっそうですか・・・わざわざありがとうございます」
僕は受話器を置いた。
来週以降か・・・僕は何気にスケジュールを見た。
(げっ!!!!!LOUDNESSの日本ツアーとかぶってるやん!!!!)
6月9日札幌からツアーが開始される。
それまではオフだったのでミッシェルが来ても大丈夫だと思っていたのだ。
僕は意を決して事務所へ電話して社長へ直談判した。
「社長、お願いがあります。ツアーに同行者連れって行っていいでしょうか?」
「同行者??なんだよそれ。誰?」
「いや・・・あの・・アメリカで知り合った女性で、今はガールフレンドで・・・」
「女か?」
「あ、はい・・・恐縮ですぅ」
「と言うことはアメリカ人か?」
「はい、思いっきり白人の女の子です」
「ん・・・・」
社長の重いため息が聞こえてきた。
非常に仕事に厳しいプロフェッショナルな社長であった。
怒鳴りつけらて怒られる覚悟での直談判だった。
「よし、分かった。今回は許可する」
僕は耳を疑った。
「えっ???まじですか??ほんまに良いんですか?」
「そのかわりチケット代、宿泊代、お前が責任を持って払え」
「あ・・・はい」
「アメリカのデビューが決まっている、二井原には少しでも英語に慣れてもらわないと困るからな。語学は異性から学ぶに限る!彼女がいる間一切日本語は禁止だぞ。それが条件だ!」
さすがアメリカでの仕事が長かった社長である。
こうして、観光接待の心配はどこへやら、ミッシェルを日本全国連れて行くことになった・・・
by loudness_ex
| 2009-05-20 14:26
