Disillusion
ひぐっつあんのドラムセットがスタジオのど真ん中にセットされた。
ジュリアンは忙しそうにマイクのセッティングに余念が無い。
ドラムセットのすぐ後ろには非常口があって、その扉を開けると非常階段が地上へ伸びていた。
ジュリアンはその非常階段にも沢山のマイクをセッティングして、階段に鳴り響く自然な残響音を録音していた。
機械的に作るエコーやリヴァーブとは違った、生々しい残響音がひぐっつあんのドラムをより一層迫力あるものにした。
ひぐっつあんはジョンボーナムのようなヘビーなリズムを叩いたり、早いリズムを叩いたりしてドラムの試し録音をやりその音をメンバー全員でコンソールルームで聴いた。

「ドッド~~~ン!!」
ベードラの凄まじいヘビーなサウンドにひぐっつあんはのけぞった。
「おぉ!!!!なんじゃ!!この迫力は!!!」
これが日本のエンジニアとの違いなのか?
コンソールに鳴り響くひぐっつあんのドラムサウンドは、確かに今まで聞きなれたひぐっつあんのドラムの音ではあったけれど、このジュリアンの作るサウンドは極太でヘビーな響きにさらに磨きをかけた感じだった。
ひぐっつあんはそのサウンドに大満足しているようで、何度もプレイバックして聞き惚れていた。
次にベースの音作りに入った。
Yesのクリス・スクワイアが大のお気に入りエンジニアである、ベースの音に関しても申し分は無い。
ただ音作りを見ている限り、特に変わった録音設定はしていないようだが、何か企業秘密があるのかもしれない。
マー君も色んなフレーズを弾きながら試し録音をやり、コンソールルームでその音を確認した。
マー君のベースサウンドも太くてヘビーでありながらも、しっかりとした輪郭を持ち芯のある響きだった。
ベースの単独音を聴いているだけでも体が熱くなるようなサウンドだ。
ドラムとベースの音が決まったところで、リズムセクションだけで録音をした。
単純な8ビートのパターンを演奏しているのだけど、サウンドがあまりに激しいので、ドラムとベースのバトルをやっているような錯覚に陥った。
これほど生き生きとしたリズムセクションサウンドがバンドの土台をがっちり固めてくれたら、もう鬼に金棒であった。
ドラムとベースだけでアルバムを作っても行けそうなほどの素晴らしいサウンドだった。
タッカンもそのリズムセクションの音作りの一部始終を見ていて、「おぉ~これは想像以上に凄い音作りよんなぁ~♪」と嬉しそうだった。
「OK!次ギターをやろう」
ジュリアンはギターアンプの置き場所を指示し、マイクのセッテイィングを慎重にした。
何度も爆音ギターの音を聴きながら、最高のポジションを探している。
「素晴らしいギターサウンドだ!」
ジュリアンはタッカンのギターサウンドを絶賛した。
「出している音が素晴らしいと、エンジニアは何もやる必要は無いのだよ!」
ジュリアンは両手を上げていたずらっぽく笑った。
音を作っている間、タッカンは色んなリフを弾き倒し、縦横無尽にソロを爆裂させた。
そして、ジュリアンはそのサウンドを録音した。
タッカンのギターの音は、今まで聴いたこともないほどのクリアでシャープなサウンドだった。
ヴォーカルはヴォーカル録音時にマイクやらを決定しようとジュリアンが言った。
「OK、ギターのサウンドも出来上がった!3人で何か演奏してくれないか?」
ひぐっつあん、マー君、タッカンがそれぞれヘッドホーンをつけた。
サームスタジオは静まり返っている。
果たして、ジュリアンの手でLOUDNESSのサウンドがどんなことになるのか、メンバーを始め日本から来たスタッフも固唾を呑んで見守っている。
「何やろか?」
ひぐっつあんがタバコを口にしながらメンバーに聞いた。
「M-1やってみよか?」
タッカンが言った。
「M-1ってどんなやったっけ?」
マー君が聞いた。
「イントロでベードラが連打する奴や」
タッカンが答えた。
「あぁ~あれか!!OK!ほんならM-1で行こう!1!2!3!4!」
ひぐっつあんも思い出したようで、いきなりカウントを叫んだ。
LOUDNESSはアルバムが完成するまで曲目タイトルが決まらないことが多い。
なので、レコーディング中はM-1(ミュージック1)、M-2、M-3・・と言う風に曲を呼ぶことが多かった。
しかしながら、M-1だけなら曲調が思い出せないので、例えば、M-1(スピードチューン ジューダス風)とか各人思い出しやすいように工夫していた。
ちなみに、ひぐっつあんはなかなか曲名を覚えてくれない人で、デビューから数年、ステージの上に張ってあるライブメニューも正式な曲名ではなくて、M-2(ハードシャッフル)とかひぐっつあん本人しか理解できないライブメニューを書いていた。
再結成以降は、なるべく正しい曲名を書くように努めていたけれど・・・・(笑。
さて、いよいよM-1の演奏が始まった。
M-1とはCrazy Doctorである。
Crazy Doctorがサームスタジオで鳴り響いた!!
タッカンのギターリフ、ひぐっつあんのベードラ、マー君のベースが怒涛のごとく音の洪水を吐き出した!
LOUDNESSが爆発している、サームスタジオが揺れている!!!
東京のリハーサルスタジオでこの曲を始めて聴いたとき、この曲がこれほどパワーのある曲だったとは気づかなかった。
ジュリアンの作るサウンドとLOUDNESSの演奏が融合し、その奇跡のケミストリーがLOUDNESSの曲に完璧なエネルギーを与えたのだ。
LOUDNESSの新たなサウンドの誕生にメンバーは歓喜した!
ジュリアンは忙しそうにマイクのセッティングに余念が無い。
ドラムセットのすぐ後ろには非常口があって、その扉を開けると非常階段が地上へ伸びていた。
ジュリアンはその非常階段にも沢山のマイクをセッティングして、階段に鳴り響く自然な残響音を録音していた。
機械的に作るエコーやリヴァーブとは違った、生々しい残響音がひぐっつあんのドラムをより一層迫力あるものにした。
ひぐっつあんはジョンボーナムのようなヘビーなリズムを叩いたり、早いリズムを叩いたりしてドラムの試し録音をやりその音をメンバー全員でコンソールルームで聴いた。

「ドッド~~~ン!!」
ベードラの凄まじいヘビーなサウンドにひぐっつあんはのけぞった。
「おぉ!!!!なんじゃ!!この迫力は!!!」
これが日本のエンジニアとの違いなのか?
コンソールに鳴り響くひぐっつあんのドラムサウンドは、確かに今まで聞きなれたひぐっつあんのドラムの音ではあったけれど、このジュリアンの作るサウンドは極太でヘビーな響きにさらに磨きをかけた感じだった。
ひぐっつあんはそのサウンドに大満足しているようで、何度もプレイバックして聞き惚れていた。
次にベースの音作りに入った。
Yesのクリス・スクワイアが大のお気に入りエンジニアである、ベースの音に関しても申し分は無い。
ただ音作りを見ている限り、特に変わった録音設定はしていないようだが、何か企業秘密があるのかもしれない。
マー君も色んなフレーズを弾きながら試し録音をやり、コンソールルームでその音を確認した。
マー君のベースサウンドも太くてヘビーでありながらも、しっかりとした輪郭を持ち芯のある響きだった。
ベースの単独音を聴いているだけでも体が熱くなるようなサウンドだ。
ドラムとベースの音が決まったところで、リズムセクションだけで録音をした。
単純な8ビートのパターンを演奏しているのだけど、サウンドがあまりに激しいので、ドラムとベースのバトルをやっているような錯覚に陥った。
これほど生き生きとしたリズムセクションサウンドがバンドの土台をがっちり固めてくれたら、もう鬼に金棒であった。
ドラムとベースだけでアルバムを作っても行けそうなほどの素晴らしいサウンドだった。
タッカンもそのリズムセクションの音作りの一部始終を見ていて、「おぉ~これは想像以上に凄い音作りよんなぁ~♪」と嬉しそうだった。
「OK!次ギターをやろう」
ジュリアンはギターアンプの置き場所を指示し、マイクのセッテイィングを慎重にした。
何度も爆音ギターの音を聴きながら、最高のポジションを探している。
「素晴らしいギターサウンドだ!」
ジュリアンはタッカンのギターサウンドを絶賛した。
「出している音が素晴らしいと、エンジニアは何もやる必要は無いのだよ!」
ジュリアンは両手を上げていたずらっぽく笑った。
音を作っている間、タッカンは色んなリフを弾き倒し、縦横無尽にソロを爆裂させた。
そして、ジュリアンはそのサウンドを録音した。
タッカンのギターの音は、今まで聴いたこともないほどのクリアでシャープなサウンドだった。
ヴォーカルはヴォーカル録音時にマイクやらを決定しようとジュリアンが言った。
「OK、ギターのサウンドも出来上がった!3人で何か演奏してくれないか?」
ひぐっつあん、マー君、タッカンがそれぞれヘッドホーンをつけた。
サームスタジオは静まり返っている。
果たして、ジュリアンの手でLOUDNESSのサウンドがどんなことになるのか、メンバーを始め日本から来たスタッフも固唾を呑んで見守っている。
「何やろか?」
ひぐっつあんがタバコを口にしながらメンバーに聞いた。
「M-1やってみよか?」
タッカンが言った。
「M-1ってどんなやったっけ?」
マー君が聞いた。
「イントロでベードラが連打する奴や」
タッカンが答えた。
「あぁ~あれか!!OK!ほんならM-1で行こう!1!2!3!4!」
ひぐっつあんも思い出したようで、いきなりカウントを叫んだ。
LOUDNESSはアルバムが完成するまで曲目タイトルが決まらないことが多い。
なので、レコーディング中はM-1(ミュージック1)、M-2、M-3・・と言う風に曲を呼ぶことが多かった。
しかしながら、M-1だけなら曲調が思い出せないので、例えば、M-1(スピードチューン ジューダス風)とか各人思い出しやすいように工夫していた。
ちなみに、ひぐっつあんはなかなか曲名を覚えてくれない人で、デビューから数年、ステージの上に張ってあるライブメニューも正式な曲名ではなくて、M-2(ハードシャッフル)とかひぐっつあん本人しか理解できないライブメニューを書いていた。
再結成以降は、なるべく正しい曲名を書くように努めていたけれど・・・・(笑。
さて、いよいよM-1の演奏が始まった。
M-1とはCrazy Doctorである。
Crazy Doctorがサームスタジオで鳴り響いた!!
タッカンのギターリフ、ひぐっつあんのベードラ、マー君のベースが怒涛のごとく音の洪水を吐き出した!
LOUDNESSが爆発している、サームスタジオが揺れている!!!
東京のリハーサルスタジオでこの曲を始めて聴いたとき、この曲がこれほどパワーのある曲だったとは気づかなかった。
ジュリアンの作るサウンドとLOUDNESSの演奏が融合し、その奇跡のケミストリーがLOUDNESSの曲に完璧なエネルギーを与えたのだ。
LOUDNESSの新たなサウンドの誕生にメンバーは歓喜した!
by loudness_ex
| 2009-01-08 15:26
